刺しゅうというサービスについて

こんにちは。

丸田ししゅうの丸田です。

 

本日のお題なのですが、刺しゅうというサービスについて少し触れていきたいと思います。

ややビジネスよりの内容ですので、興味のある方だけ読んで頂ければ幸いです。

 

刺しゅうの種類について

当社は「丸田ししゅう」の社名通り、刺しゅう加工をサービスとしている会社です。

と言っても言葉を聞いてすぐに仕事内容がイメージできる人はほとんどいないでしょう。

 

本当にニッチな業界だと自分でも強く思いますし、自分の親がこの業界にいなければ

確実に何のことかわからないまま人生を過ごしていたと思います。

ただ私も数年業界に身を置いて色々と説明ができる程にはなったので

せっかくなので細かく解説していきます。

刺しゅう加工について深堀りしていくと、実は大きく3種類に分けることができます。

①手刺しゅう

②横振り刺しゅう

③機械刺しゅう

 

まず①手刺しゅうですが、これは読んで字のごとく針と糸を持って手作業でチクチクと縫っていって柄を構成する手法です。

作業の流れとしては編み物に近くて、1点1点ハンドメイドで仕上げていきます。

 

刺しゅうと聞くとこちらを想像する方も多く、初めて会う方に刺しゅうを仕事にしていると伝えると、針で縫うようなジェスチャーをされて手先が器用なんですねと言われることもあります。

 

もちろん当社の仕事は手刺しゅうではないし、手先は器用ではないのですがこの違いは後ほど説明します。

手刺しゅうはお仕事でやっている方も稀にいますが、どちらかというと趣味の領域かなと私は思います。

 

というのもやはり1点1点仕上げるという特性上、自分の家族にあげるならともかく商業用として販売するとなると、1点あたりの作業時間は膨大になってしまい、元を取ろうとすると単価はとんでもなく高くなってしまうので、会社としてお金を頂戴するサービスとして行うのはあまり現実的ではないかなというのが正直なところです。

 

②横振り刺しゅう

こちらは横振りミシンという機械を使用するのですが、勝手は縫製ミシンと酷似しており、ペダルを踏むと針が高速で動くので、文字や図柄を構成するように生地の方を動かして進めます。

 

1点1点作るという点では手刺しゅうと共通ですが、機械を使用している分スピードは段違いです。

ただ使いこなすのは非常に難しく、それこそ職人芸の域なので、人物や風景などを糸で表現して個展を開くといったアーティスティックな方が日本に数人残っているというような位置づけになります。

台数も非常に少なく、今から始めたいという方はおそらく非常に貴重なのではないかなと思います。

 

簡単な文字くらいならできる方もいるかもしれないですが、繊細なので文字が歪んだり個体差が激しかったりする為

こちらもあまり商業用というには適切ではないと判断せざるを得ないですね。

③機械刺しゅう

現在、最もポピュラーなのはこちらになります。

パソコンに専用のデザインソフトをインストールして、PC上で糸の通り道を設定したデータを作成することで機械側が同じ動作をしてくれるというものです。

 

文字を刺しゅうしたい時もPCで文字を入力すれば、自動で刺しゅう用に変換してくれますし、イラストを刺しゅうにしたい時も画面上で糸の流れ等も自由に設定できるので、非常に自由度が高いです。

 

なんといっても製作に入る前に仕上がりのイメージがPCやスマホで確認できますし、一度データを作ってしまえばあとは同じように仕上がるので再現性という点で他の2つは比べ物にならないほど優れています。

 

ただネガティブな面をあげるとしたらデジタルに弱い人は慣れるまで時間がかかるのと、機械も専用ソフトもそれなりに高いので初期投資にお金がかかる点が挙げられます。

とはいえ、オリジナルの刺しゅうをしますというサービスを仕事にする場合はこちらの機械が無いとスタートラインにすら立てないですし、当社も基本的には機械刺しゅうの会社なので、今度はこちらについて解説していきます。

 

機械刺しゅうの内訳

機械刺しゅうを仕事にしている方・会社も大きく分けるとと以下の3つの方針に分けることができます。

①世界に1つだけのオリジナルを作ります

②オリジナルチームウェア・ユニフォーム作ります

③オリジナルグッズ・物販品作ります

 

それぞれ解説していきます。

①ですが、こちらは比較的小型の機械を1台で1人の担当者が展開することが多いサービスです。

子どもの絵だったり、自分で着る用のウェアなどいわゆる1点もの製作に情熱を燃やすタイプです。

 

再現性という観点からすると必ずしも機械刺しゅうである必要は無いのですが

B to C専門、1点ものに絞って運営している会社も多くは無いので、②も平行して行うとなると

必然的に機械を導入することがほとんどになります。

 

②は会社やチームのロゴを刺しゅうしてオリジナルウェア作成を謳っているサービスです。

B to Bが多いですが、スポーツチームやバイクチームからの依頼もあり、B to Cの要素も若干含まれます。

複数点作成することがほとんどの為、機械刺しゅうの再現性という長所をいかんなく発揮することができます。

 

数量も1点ということはなく、一度に数十点だったり規模の大きい会社からだと数百点の注文が毎シーズン入ってくると考えると、商業的な面で言えば最も安定しやすいと言えるでしょう。

 

それだけに刺しゅう業界的には最も多くの会社が参入している分野で、ややレッドオーシャンの要素もある為、プリントの機械も入れていたり、Tシャツや作業服の販売もセットで行っていたりと他との差別化は必須になってきます。

 

また②だけこなしていると衣替えの時は忙しいけどもシーズンが終われば全く注文が来ないということもあるので、1年を通して注文数を平均化していくことは永遠の課題です。

営業兼作業スタッフとして少人数で行っている会社もあれば、部署を分けて効率化している会社もありますが、1人だとピーク時期に満足なサービスを提供するのは難しいかなと思います。

 

最後に③ですがこちらはアパレルやイベントでの販売をする会社向けに展開するB to Bの中でも業者さん向けのサービスになります。

1回の注文点数が100点単位になることも珍しくなく、中には1000点を超える場合もあり、経営的にはまとまった金額になるので嬉しいです。

ただ業者の皆さまも自社の売上に直結する部分なので、品質チェックは厳しい方が多く、販売日も決まっているので納期がシビアなことも多いです。

 

必然的に大型の機械が必要になるので、こちらの分野への今からの新規参入はものすごく高い壁になります。

営業も色々と考えることが多く、打ち合わせや納品で会社を空けることもあるので、必ず複数人必要でかつ営業と製造で部署を分ける必要があるというのが個人的な見解です。

まとめ

お察しかもしれないですが、丸田ししゅうは②③が主力事業で、①を積極的にPRすることはほぼありません。

ついでに言えば、自分達のことを刺しゅう屋さんと呼ぶこともありません。

この言葉には個人間でのやり取りというニュアンスが含まれるような気がしていて、基本的には刺しゅう加工メーカーと名乗るようにしています。

 

当社の企業理念は「刺しゅうで事業に貢献」。

なので何よりも優先するのは②でも③でも法人様のご依頼で、注文が溢れてしまうような時には個人的なご依頼はお断りをさせて頂く場合もあります。

 

会社も軸となる考えを持つことが必要ですね。

2月は本来であれば、閑散月で掃除や育成に力を入れようと思っていたのですが、そんな暇もないほど日々やることがあり、ありがたい限りです。

 

2年に1回くらいのペースで設備投資してますので、2025年中にまた動きがあるかもしれません。

温かい目で見守って頂ければ嬉しい限りです。

もし刺しゅうグッズに興味のある方は下記バナーよりご連絡ください。

 

 

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