こんにちは。
丸田ししゅうの丸田です。
すっかり肌寒い天気となりましたが、日中は半袖で過ごせるくらいの陽気の時もありますね。
いったい地球はどうなってしまうのでしょうか。
プレミアムインセンティブショーを終えて
当社といえば10月4~6日に池袋にて開催されたプレミアムインセンティブショーに出展させて頂きました。
来場者の数は3日間で約3万人が訪れ、我々もおよそ200名の方と名刺交換をさせて頂いた次第です。
刺しゅうの実演もしながらでたくさんの関係者の方の注目をして頂き
途中で取材のお申込みなどもありました。
出展している中で耳にしたワードとしては
刺しゅうって良いよね、格好良いよね、かわいいよねというたくさんのポジティブなご意見でした。
自社デザインの刺しゅうサンプルをお配りしていたので、それを見てもあると思いますが
ああ、たくさんの方に需要があるんだなと嬉しい気持ちになりました。
しかしながら中には今まで頼んでいた刺しゅう屋さんが廃業してしまっていたので
代わりにできる会社を探していますという会社様も少なからずいらっしゃいました。
こんなにも需要を感じることができたのに廃業してしまう会社もある。
その理由を考えた時に個人的にですが、3つの要因にたどり着きましたので少し解説していこうと思います。
①高齢化による廃業
刺しゅう業というのは実は昔からひっそりと存在していました。
丸田ししゅうも今年で創業から35年目になるので、老舗といえば老舗かもしれないですが
中には創業70年という超ベテランの会社もあったりします。
それだけに事業継承は頭の痛い問題です。
私にとって刺しゅうは小さい時から身近な存在で
大人になってからも事業が継続していたことから需要のある仕事という認識だった為
自分の意思で入社を決めた経緯があります。
しかし、現在高齢の経営者のお子さんが必ずしもそうではないと思いますし
また、刺しゅう業界も非常にニッチな分野の為、刺しゅうに興味があるので入社させてください
という若年層もあまり多くはなく、後継者選びの選択肢候補に選ばれることも少ないことと思います。
その為、昔からのお客さんがいる会社でも泣く泣く廃業してしまうケースもよくあるようです。
②顧客層の変化による廃業
2つ目は顧客層が時代ともに変わっていき、その変化に対応できずに廃業に追い込まれてしまうというパターンです。
刺しゅう業は一昔前は完全BtoBでアパレル業の下請けという位置付けであることがほとんどでした。
孫請けであることも珍しくなく、そういった場合は当然加工単価もあまり高くはなかったのですが
販路が1択だったのと生産ロットが多かったので、それでも経営は問題なく回っていました。
しかし、2000年初め頃から中国をはじめとする海外に生産拠点が移るにつれて国内の工場は大打撃を受けました。
もちろん丸田ししゅうも例外ではなく、当時はかなりの経営危機に陥ったと聞いています。
途上国の安い加工単価と比較されてしまう為、安かった加工単価はさらに安い価格を要求され
大きいロットの注文は海外に行ってしまい、少ないロットだけが国内に流通する。
こんな環境では経営が上手く回るはずもないですよね。
しかし、中にはインターネットを活用してBtoBからBtoCへと市場転換を図ることで
全く別の販路を見出し、さらに単価もBtoBの時とは比べ物にならないほど高くすることに成功した会社もあります。
アパレル業からの注文にしがみついていたらとっくの昔に廃業していた
と老舗の刺しゅう会社のブログを読んだことがあります。
高齢化と重なる問題ではありますし、現在もアパレルの下請けを行っている会社も数多くありますので
BtoCが全てではないのですが、時代に合わせて変わっていけるかどうかというのは非常に大事なことだと思います。
③単価設定による廃業
最後に加工単価の設定を誤ってしまって廃業してしまうパターンを紹介したいと思います。
②で刺しゅう会社は下請け・孫請けに組み込まれてしまうことが多いと説明しましたが
相見積もりにて1円でも安い方に発注をするという会社は多いようです。
その為価格競争が激化して、適正価格にて加工依頼ができずに
儲からないとわかっていながらも泣く泣く仕事を引き受けるという会社は多いはずです。
結果として経営が回らなくなって廃業に繋がり
発注していた方も受注先が無くなってしまって困ってしまうというパターンですね。
ビジネスの本質はWIN-WIN、持ちつ持たれつの関係が基本だと思います。
しかし、発注者側が上で受注側が下という構造ができあがってしまうと
強く言えずにあれもこれもと理不尽な要求を受け入れざるを得ないループに入ってしまうのです。
②で市場を一般の方に変換したとしても世の中には適正価格というものが存在します。
一般の方だからといって何でも通るわけではなく、やはりこのくらいの価格なら依頼してもよい
というラインはあるので、そのあたりは抑えておかないと結局は受注に繋がらず
また、下請け時代の癖で安く受けすぎても設備投資分を回収できなかったりするので
このあたりは非常によく考えて設定をしていかないといけないでしょう。
ではどうすればよいのか
全ての業界に言えることですが、誰だって廃業したく無いですね。
ではどうすれば事業を継続できるようになるのか、個人的見解を述べていきます。
まず、何よりも目立つこと、人が集まる場に参加することです。
刺しゅう加工はその需要の多さに比べて、供給源が非常に少ないです。
なのである程度の知識と設備のある会社であれば、それなりの繋がりを持つことがで
BtoBだろうとBtoCだろうと、わりと目に止まるところまでは進めます。
今はSNSで自社の取り組みも容易に発信できるようになったのでなおさらです。
しかし、次のステップに進むためには少しテクニックが要ります。
それは伝え方を間違えると、良さが伝わらないという点です。
見せるのではなく、魅せる。
これは今やどの会社も意識しないといけない時代になっていると思います。
当社ではとにかく第一印象が良くなるように写真はほぼプロのカメラマンに撮ってもらっています。
もう1つ大事なことは自分(自社)の強み・弱みを理解することです。
丸田ししゅうはBtoCもやっていますが、基本は2ケタ以上のロットをメインにするBtoBの会社です。
その為、一般の方には1点ものだと単価が高くなってしまい、納期も多めに頂いてしまうとお伝えしますが
ご納得されるようであれば依頼をお受けしている形です。
価格を理由に注文をキャンセルされる方もいますが、それはお互いの希望が合わなかっただけなので
小ロットメインでやられている同業の方を紹介したりします。
敵を知り、己を知れば百戦して危うからず。by孫子
お客様は敵では無いですが、そういうことだと思います。
それとどんな方でもご依頼を頂いているという気持ちは絶対忘れてはいけません。
ビジネスの基本はWIN-WINなので、お金を頂く以上は満足感を提供する義務があります。
最後に
勢いで色々お伝えしましたが、何か特別なことをやっている自覚はありません。
ただ、自社が持っている強みをできるだけ多くの方に知って頂く努力をする。
そうすればお問い合わせを多く頂けるようになる。
結果、理不尽なご依頼はお断りする余裕も生まれてくるでしょう。
もしこの先どうすればよいか迷っている経営者の方や、起業したい方がいれば
まずランチェスター戦略を学ぶことをお勧めします。
以上、2代目のつぶやきでした。